ここに在らず。
なんだか私って、本当に他の人と感覚が違うんだな…なんて思った。他の人の持つ感覚に追いついていないのかもしれない。今までの人生の中での人と共有するような感覚に対する経験値が足りない事が、なんだか最近目に見えて分かる。
私にもいつか同じ感覚を得る時が来るのかな…なんて、落ち込む心と共にどんどん顔が俯いていく自分がここに居たりする。
「……あー、なんだ。確かに、俺も少し大袈裟だったかもしれない」
すると聞こえてきたその声。私が視線をナツキさんへと戻すと、目の前のナツキさんはそう言いながら少し恥ずかしそうでいて、そしてなんだかバツの悪そうな表情をしていた。
「まぁ、つまりあれだ。自分の名前を呼ばれる事って、結構…その……嬉しくないか?」