ここに在らず。
もう一度頭の中に響いてきた声。その瞬間、瞬時に熱を持った自分の顔に驚き、私は無意識にも慌てて両手を頬へと添えた。
「!、な、なんだ、どうした?」
「え⁈ い、いえっ、なんでも、なんでもありません…っ」
なんて否定はしてみたものの、何でもなくはない。とても驚いている。顔がやけに熱い。
あれはトウマさんの声だと頭が認識した瞬間、隣でジッと私を見つめて、私の名前を口にするトウマさんが脳内で再現されて、妙にリアルな声が頭の中に響いてきて…すると、みるみる内に顔が火照り始めて。
な、なんで?なんで急に?
「……へぇ、なるほど」
その呟きに意識を戻すと、やけにニヤついた顔のナツキさんと目が合った。