ここに在らず。
「え?な、なんですか?」
なんて焦りつつ尋ねてみると、ナツキさんは余計にその笑みを深めて私にそれを問いかける。
「あんた、好きな奴がいるだろ」
「え、……えぇ⁈ 」
それを何故か確信めいた様子でナツキさんは言い、私はその言葉の意味を理解するまでに随分時間を要した。要したけれど…いくら私だって、意味くらい分かった。何故かなんて、それは最近の恋愛小説を読み漁る私に尋ねるような事でもない。
「い、いや、好きな奴って、えぇ⁈ 」
「ほら当たりだ。いるんだろ?今そいつに呼ばれた時を想像したんだろ」
「えぇ⁈ 」