ここに在らず。


「だから…何と言いますか、ご本人にお会いしたのは始めの一度だけでして、でも私は夢の中でいつもトウマさんにお会いしている訳ですので、だからあの時、ナツキさんが私に名前を呼ばれるお話をされた時、いつも私を見つめてくれる夢のトウマさんを思い出してしまいました。彼はいつも私を見つめてくれて、気にかけてくれて、優しく微笑んでくれて…って、それも全て私の夢の中という事は私の作り上げた…所謂妄想のような物なのですが、でもやっぱり私にはそのトウマさんがとても大切で、居なくなって欲しくはなくてですね…」


なんて話しながら、すっかりお仕置きの事は頭の中のどこかへと追いやられ、今は兎に角なんだか落ち着かない気持ちで一杯だった。

向き合おうと決心しておきながらもやっぱり痛い自分を曝け出すのはとてもキツイ。正直な所、かなり恥ずかしい。

私は今何の告白をしているのだと、口にしている言葉の全てが冷静な頭で向き合うと歪な物だと気づいた…いや、分かっていて向き合ったのだった、そうだった。でもやっぱり、向き合うにしてもまず他の方法があったようにも今更ながらに思える。

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