ここに在らず。


ーー気づけば、定期的に図書館へやって来るようになっていたナツキさん。

そんなナツキさんと会えたのはやっぱりそれから数日後の事で、また今度、と約束していた私にとってそれは、待ちに待った日でもあった。


「ナツキさん、こっちです」


彼の姿を確認し、私は声を掛ける。すると私の声に気づいたナツキさんは、驚いた表情をしてこちらへと足を進めた。


「…珍しいな、そっちから呼ぶなんて」


なんて、どこか動揺しているような様子でナツキさんは隣の席に着いたのだけれど、私はそんな彼の様子を気にするでも無く、席に着くや否や「この間の話、覚えてらっしゃいます?」と本題へ入ろうとした。

するとそんな私の問い掛けにナツキさんは不服そうな顔をする。

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