ここに在らず。

現実とは思わないのか…だなんて、なんだか少し懐かしいような気もする事を尋ねてくるなと、その時私は思った。

今まで色々と悩んできたその答え。私は頭の中で答えを整理する。


「…あの、私にも、なんだか現実なのか夢なのか分からないような時がありました。もしかしたらと思いたい気持ちに負けそうな…そんな時もありましたけれど、始め以外は全て夢、それが現実なんです。ちゃんと分かっているんです。もう私は目を逸らさないで向き合っていくと決めたんです。だからもう、そういう事に関しては気にして頂かなくても答えは出ているので、」

「現実と向き合う？どういう事だよ」

「……ですから、あれは夢のトウマさんであって、本物では無くて、でも私にとっては大切な存在なんです。そう受け入れる事が…現実ではないものでも受け入れる事が、そして現実のトウマさんとあの夢のトウマさんを区別する事が、私の現実と向き合う事なんです。だって、夢以外に現実的にあり得ないのですから。それは分かり切った事で、私には無理なんです。本当のトウマさんに会う事は今の私には不可能なんです」

「不可能？何で？」