ここに在らず。
その言葉で反射的に私は頬へとまた手を伸ばした。本当だ、涙が止まっている。
「…驚いたからかも、しれません」
私がそう答えると怪訝そうな表情をする彼。
…すごい。この距離だと表情で気持ちが感じられるんだ。
「あなたと目が合っていたから、とても驚いたんです。あなたの目に、私が映っていたから」
「…そうか」
「それに、あなたは不思議です」
「俺?」
「私に言葉を返してくれました。それは孤独だと。孤独だったんですね、私はずっと」
「……」
「やっぱり本で読むのとは違いますね。孤独という言葉の意味は知っていても自分に置き換えた事はありませんでした。…というか、認めたくなかったのかもしれません。でも本当に、私ってば本当にその通り」