ここに在らず。
「……」
なんだかしつこくも感じるナツキさんの問い掛け。現実ではないと言っている何がそんなに受け入れられないのか、私にはさっぱり分からない。本当に、現実的に…物理的に、不可能なのだ。
「…だから何故って、だからですね、私は帰ると離れの扉を閉められるので、私はいつも外には出られない訳ですから…、」
その瞬間、ハッとした。
あぁ、やってしまったと思った。
これは禁止事項だ。家での決まりは人に話してはいけない、それは昔からずっとそうで、守らなければならない決まりの一つだった。
いつも何故か本邸の人達にバレてしまうルール違反。違反した事に気づいた瞬間、いつもの如く身体がゾクリとした。久し振りなその感覚。そうだ、もうお仕置きが決定したも同然だ…