ここに在らず。

「…だから、夢であって欲しいとかでは無くて…」

「縋る気持ちは分かる。夢であって欲しいと思う気持ちが生まれる事だって俺にもあるし、だから夢だと思う事はアリだとは思う。…でも、あんたの言ってる事は可笑しいだろ」

「…可笑しい？」


何が可笑しいんだと、私はナツキさんに対して訝しみ、そして苛立ちのようなものを抱いた。でも、目の前のナツキさんはそれ以上に私に対して同じような表情を見せている事に気がついた。

バッチリと合った視線。そしてついに…ナツキさんは、その言葉を口にする。


「訳分からない。会いたい奴に現実で会えてるのに、なんで夢だと思わなきゃなんないんだよ」

「……え？」