ここに在らず。


誰も居ない。私の事を気にかけてくれる人も、私と一緒に居たいと思ってくれる人も、私の幸せを願ってくれる人も、私の話を聞きたいと思ってくれる人も、私を知りたいと思ってくれる人も、私に会いたいと思ってくれる人も。

私を必要としてくれる人の居ない、私が居なくなっても何の支障もない世界…むしろ、私が居なくなった方が事が上手く運ぶ世界。そんな世界の中、私は存在している。

…そう。私の存在なんて無い方がいいんだ。だから私には未来が見えないんだ。


「ここに存在する意味なんて、私には何も無い…」

「君は、そう思うのか?」

「…え?」

「それを決めるのは誰でも無い、自分だ。それでも君はそれを望むのか?」

「……」


見上げた先の灰色の瞳。それはジッと私を見つめる。


“それを君は望むのか?”


問いかけが頭の中をグルグルとかけ巡る。


“それを決めるのは誰でも無い、自分だ”


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