ここに在らず。
トウマさんと出会ってからの一年と少し。思い返してみると、トウマさんとの思い出は沢山あった。それこそ数え切れない程のそれら一つ一つが、私にとっては宝物だった。
いつも私の様子を気にしてくれていたのも、私の話をじっと聞いてくれたのも、それは全部本当のトウマさんだった。
私の頭を撫でてくれたのも、フードを被る意味を教えてくれたのも、私の言葉で話してと言ってくれたのも、私を気になっていると言ってくれたのも、全て現実。今までの全てが現実。
それが分かると、とても嬉しいような、切ないような、悲しいような、申し訳ないような…そんな胸を苦しくする感覚に襲われる。全ての出来事から存在感を感じた。夢と現実、それはこんなにも違うものだった。それはとても眩しくて…とても重い。