ここに在らず。

そんな初めての感覚に何故かなと考えてみると、それはきっと私一人の思い出では無いからだと思った。トウマさんの中にも同じ日の記憶はあって、その時きっと私とは違う感情を抱いているはずで、それがきっと思い出として彼の中にもある。

それはやっぱり、私にとってどこか怖かった。こんな私をなんで？とか、どうしてトウマさんはこんなにも…とか、現実になればなる程分からない事ばかりに埋めつくされる。あの時どう思ったのだろうとか、今私はどんな風に思われているのだろうとか、そんな考えたくない事まで考えてしまう。

どうせなら知りたくない。私みたいな奴と関わって良い思いをする訳が無いのだから。いつもいつも、こんな私に付き合わされて…トウマさんは一体今、どんな気持ちで……ダメだ、考えたくない。知りたくない。現実は…現実になると、こんなにも怖く感じるものだったんだ。