ここに在らず。
そうか、だから私の中で現実から目を逸らす自分がいたんだ。無意識のうちにこうなる事を予想していた自分が居たのかもしれない。でも私の中には現実を受け入れたいと思う自分がいて、それが勝った。だから私は今ここに居る。
これは現実。現実……なのは、もうきっと間違いないのだろうと、思う……けれど、
「……」
それでも一つ、思い返してみる中で一つだけ、私はどうしても理解出来ない事が見つかった。
もちろんまだどうやって鍵が閉まっている玄関を出たのかとか、どうしてトウマさんがここを知っているのかなんてそんな事は分からない。でもきっとそれらは説明されれば理解する事が出来る事だと思う。