ここに在らず。
突如、カタカタと身体が震え始める。私はそんな自分の身体を両手で抱きしめてみたけれど、何も変わりはしなかった。そんな事をしてみたとしても、私の震えも思考も止める事は出来ない。
…そうか、だからナツキさんは謝ったのかもしれない。あの時は頭が真っ白になってしまっていて分からなかったけれど、ナツキさんが現実だと、トウマさんの事を知っているのは可笑しい事なはず。
という事はナツキさんはトウマさんの事を知っていて、私が夜会いに行っている事をトウマさんから聞いていて、だから私に声を掛けてきたという事。そう思えば今までずっと不思議に思っていたナツキさんの行動も全て納得がいくと思う。