ここに在らず。
諦めようとした。諦めたと思った。もういいと思った。何も無い事を受け入れたつもりだった。
それでもやっぱり、私は私の未来をーー捨て去る事が出来なかった。
子供のように泣きじゃくる私を、トウマさんはもう一度ギュッと抱きしめて、「分かった」と言ってくれた。
その言葉に何より安心して、もう助かるのだと確信する。もう一人じゃないのだと信じられた。
…そうか。本当はずっと、待っていたんだ。
あのトウマさんが私を助けに来てくれるのを、ずっと待っていたんだ。
捨てられない未来の理由が分かると、私はスッと頭が軽くなり、そのままトウマさんに身体を預けた。