ここに在らず。
…本当は、ずっと、ずっと、本物の本当のトウマさんに会いたかった。
仕舞い込まれていた物を言葉にして伝えられたと思うと、私はわんわんと子供みたいに泣いた。泣くことしか出来なかった。でもそんな私に呆れる事無くトウマさんはずっと傍に居てくれて、よしよしと、頭を撫でてくれる。…そして、
「…俺も、君に会いたかったよ」
そう、ポツリと聞こえてきた声は、なんだか泣き出してしまいそうな、そんな切ない声色だった…と思う。
私はただただ夢中で泣いていたから、彼がどんな顔をしていたのかは分からない。でもその時にそっと抱き寄せられて彼の胸に耳を寄せると、感じる彼の鼓動は少し大きく、速かったようにも感じた。
…そして、涙が止まる頃にはすっかり泣き疲れてしまった私。そんな私にも気づいているトウマさんは私をベッドに横にさせ、そのまま眠りにつくまで傍に居てくれた。隣に感じる彼の気配は私にとって心地良く、嘘では無い本当の眠りに、すんなりとつくことが出来た。