ここに在らず。
“一人で歩いてくる”
それは信じられない程に当たり前の事実だと思った。…が、しかし。いや、当たり前ではないとすぐに頭の中で切り替える。そうだ、だってそこには、私の記憶が無いのだから。
「…で、でもそんな事を言われましても、私にはその時の記憶が…」
「あぁ。それなんだけど…どうやら君の眠りは少し特殊らしい」
「…え?」
「君が公園へ来る時。その時の君の脳は眠ったままで、身体だけが起きているようなんだ。それが公園までやって来ると目が覚めて…そしてまた、通常の眠りにつく」
「……」
告げられた事実が理解出来ず、思わず言葉を失う私。
その後、「それが君と俺が会う時の眠りのパターンだ」というトウマさんの言葉を聞いて、多少追いついてきた思考の中で少し特殊だと言われた自分の眠りについて考えを並べてみる。