ここに在らず。
…そうだ、夢遊病。
寝ている間に急に立ち上がって部屋を歩き回ったり、本を読んでいるような素振りをしたり、冷蔵庫を開け閉めしていたりというような話をどこかで聞いた事がある。どこで聞いたかは分からないけれど、それだったらなんだか似ているような気もしなくもない。…うん。きっとそうだと思う!
なんて、ほぼ確信をして発言した言葉…なはずだったのだけれど、残念ながら、どうやらそれは間違っていたらしい。
トウマさんは私に視線を送りながらゆっくりと、一度だけ首を横に振ってみせた。
「いや、詳しくは分からないけど、夢遊病はその間の本人の意識が無くて、目覚めた時にはまったくその記憶が無いことが特徴らしい。でも君は公園での事に対して意識も記憶もハッキリしている」