ここに在らず。


トウマさんの言葉に、黙って考える私。そんな私に少し不安そうな顔で「ここまで、大丈夫か?」と、トウマさんは尋ねてくる。

大丈夫かと言われたら…正直、言われる自分の状態、状況、現状が何の自覚もない分、もはやそれこそ夢なのでは…なんて思う気持ちもあったりして、何がどうなれば大丈夫なのかもよく分からない。

理解出来たかと、そういう事なのだろうか。でも、理解したかしてないかというと…でも、きっとトウマさんの事だ。こんな信じられない事を言っていたとしても、嘘をついているとは思えない…とはまだ言い切れないとしても、彼がこんな嘘を簡単に連ねて話す人とは思えなかった。そう思えばこの話も、きっと真実である事には間違いない。


そして結論に辿り着いた私は、「はい、大丈夫です」と頷く。それを確認したトウマさんは、「じゃあ、話を戻そう」と、また話を再開させた。


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