ここに在らず。
「驚いたし、いざ君を前にしたら俺こそ、これは本当に現実か?なんて思った。きっと藤堂さんは君を今度こそしっかりと見張るだろうと思ったし、そんな君が俺の前に現れる訳が無いと思ったから。でも、君は現れた。俺の名前を呼んで、なんだか楽しそうにする君に、あの時の約束は守られたんだろうとホッとしたのを覚えてる。…でも、そこで俺は気がついた」
「…何をです?」
「…もし、これが本当だとしたら。君と会っている俺は約束を違反している事になる。俺は良い、何があったって別に。でも…そのペナルティが君へと向けられてしまったら。そう思うと望んでいた再会だったはずなのに、俺は大きな間違いをしてしまったんだとすごく後悔した」
「……」
「そしてどうするべきか、なんて考え始めたその時だった。君が俺に尋ねたんだ、これは夢か?と。どうやらそう思い込んでいるらしい君の様子を見て、そこで俺は一つの案を思いついた」