ここに在らず。
「初めて会った時からずっと、あなたはあなただった。きっと分かってた。本当は分かってて、でも私はそれを受け入れようとはしなかった」
そう、始めから思い返すとそこには、いつも真っ直ぐ向き合ってくれるあなたが居た。どの記憶の中でもあなたはいつもそうだった。温かかった。優しかった。
「あなたはいつも私を見てくれていたのに。それなのに私は、私の世界が崩れないように、私の思いとズレ始めるたびにあなたが違うと、あなたを否定してきた」
一番大切なもの、それが私には見えていなかった。だからきっと私の世界はいつも暗かった。だから私には何も無かった。