ここに在らず。


「今までどれだけ失礼な事を…私、私はどうしたら…どうやってお詫びをすれば…」

「そんなもの、いらないよ」


パニックにも近い私の頭の中に、彼の声が響き渡った。


そんなもの、いらない…?


「そ、それって、それはもう、私を許しては下さらないと…っ、」


ハッとして、私は俯いて膝の上の両手を見つめていた視線を上げる。そして…言葉を、失った。


「そんなものは、いらないんだ」


もう一度そう言ったトウマさんの表情は…とても優しかった。優しく、温かく微笑んでいた。それはいつも見てきた笑顔だ。私を見るトウマさんはいつもこうして笑ってくれていた。


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