ここに在らず。
そう答えながら私は、心の底からほっと一息ついた。
なんだ、良かった、やっぱり夢じゃなかったのかと、何も変わらない彼を見てそう思う。そしてやっぱり、もうここは違う。ここはもう、今までとは違う新しい世界なのだと確信する。
トウマさんが居る。それだけで私の世界は安定を保つことが出来るのだ。
すると、軽く首を傾げてみせたトウマさん。どうやら私の様子に何かを感じ取ったらしく、ゆっくりと彼は近づいて来て、私の少し前で向き合うようにベッドに腰を掛けた。
「…何だ?」
「え?」
「いや、何か聞きたい事でもあるのかなと思って。違うか?」