ここに在らず。


なんて尋ねるトウマさんは、いつものように優しく微笑んでくれている。それが心をじんわりと温めてくれるから…私は、自然と生まれた想いを乗せて口を開いてしまう。


「…本物なんだと、思いまして」

「本物?」

「はい。ここはもう本物の世界なんだと、夢では無かったんだと安心しました。トウマさんが…ここに、ちゃんと居たから」


そう、私の世界は変わった。私はもう独りでは無い。この世界には必ずもう一人、あなたが居る。


「トウマさんが居るから、私はここに居ます。トウマさんが居るのが私の世界です。トウマさんが私を助けてくれるんです、あの日から今日までずっと、そして…これからも…」

「……」



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