ここに在らず。
そう言って、トウマさんは私の頭を優しく撫でた。そして、
「じゃあ今日はこれからの話をしようか。まずは朝食を食べてから」
なんて言うと立ち上がり、「行こうか」と私に告げてドアの方へと向かった。
トウマさんに続いて私はベッドから降り、当たり前のように彼の後ろについて行く。もう身体は自由だった。あんなに動かなかったのが嘘のようだ。それに…なんだろう。なんだか心がすごく軽い。
不思議だな、なんて思いながら私はリビングに入る。これもトウマさんの力だろうか。トウマさんが居るだけでこれだけ違うものなのか。…いや、居るだけ、では無いか。居る事自体すごい事なのだ。
そして、トウマさんが朝食にと用意してくれたトーストを食べながら、私はまた感謝する。もう感謝しかない。恩しかない。せめてもの後片付けだけはやらせてもらって、二人でまたソファで落ち着いた時に気がついた。