ここに在らず。
そう、寂しいんだ。悲しくて、辛くて、寂しい。そして焦燥感は全て絶望感へと変わる。そうだ、絶対そうだとそれは紛れもない事実として私の中に生まれる。そんな感情らは私の中をグルグルと渦巻いて、好き放題に暴れまわり始める。
…可笑しな話だ。あんなに辛かったのに、良い思い出なんて無かったのに。ずっとずっと、別に受け入れられているなんて思って無かったのに。それなのに見捨てられた、なんて感じる私は…一体何?そんな私は今まで何処に居たというのだろう。
「…戻りたいか?」
「え?」
すると、トウマさんはまっすぐに私を見て尋ねる。
「家に…藤堂さんの元に、戻りたいか?」
「……」