ここに在らず。
そして、「どうする?」と、トウマさんは優しく私に尋ねた。
私は…正直、戸惑った。ありもしないと思っていた選択肢が今、急に浮かび上がってきて、目の前にハッキリと存在しているからだ。
トウマさんとここでこのまま過ごしていくものだと思っていた。これからも…なんて、だから先程口から出てしまったんだと思う。でもそれはもしかしたら、また私の夢見がちな所が出てしまっただけかもしれない。
だからあの時の私は学校の存在を忘れていたのだろう。あの時の…というか、今この瞬間以前の自分は本当の意味での未来を、現実を見ていなかった。気づいていなかったというか、頭にすらなかった。だから私がここに居る、という意味が分からなかった。