ここに在らず。


戻りたくない。そんなはずが無い。でも気持ちがその選択についてこない。それはきっと、あと一つ、何かが足りないからだと思った。見捨てられて寂しい。辛い。でも現実の中であそこを捨てる勇気が無い。そうだ、私には勇気が足りない。今までのものを全て捨てる勇気が、そしてその現実を受け入れて、一人で新たな一歩を踏み出す勇気が…


「俺は、君の傍に居るよ」

「…え?」


その時、聞こえて来たのは私の背中を押す言葉。


「君が何処に居たって俺は、ずっと君の傍に居る」


…その言葉で、私は大きな一つの真実を思い出した。


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