ここに在らず。
私の方へと振り返ったトウマさんは、そう言って心配そうに眉をひそめる。あれだけテンションの高かった私がコレだ。それはもう、そう思われても仕方ない無いだろう。
でも違うんです。体調は全然悪く無いんです。ただちょっと…
「いえ、なんか…圧倒されてしまいまして」
…そう。圧倒されて、少し気持ちが負けてしまっただけなんです。
そして、心配かけまいとヘラっと笑ってみせた私。「本当に大丈夫か?」と訝しむ彼に「でも行きたいし見てみたいのは本当なんです!」と訴えて、なんとか次の行動へと移る事が出来た。そう、初めての場所なのだ。圧倒されはしたものの、それに勝るとも劣らない興味も十分に抱いている。