ここに在らず。
「まぁだから、本当に気にしないで欲しい。俺がするべき事だし、俺が君のために出来る事だから。だから…その…単純に、そこは俺に甘えてくれ」
なんて、目の前には少し照れた様子で言うトウマさんの姿があった。
そんな彼の姿を見ながら私は、呆然とする頭の中で一つ…なるほど。と、納得する。
そうか、だからお財布が無かったのか。わざとそこは置いて来たと、そういう事だったのか。
あれは本邸の人達が私に与えたお金が入っている訳だから、居る場所が、お世話になる人が変わるのだから置いて来るべきだと、そういう事らしい。
「…では、この携帯電話は…」
「あぁ、それは藤堂さんが管理するからとの事で、一応そのまま変わらない予定だ」
「…そうですか…」