ここに在らず。
溜息こそつかないものの、帰宅中の車内の私はあれから継続して暗い気分のままだった。…いや、ままというか、そんな自分が隅っこの方でずっと待機している…とでもいうのだろうか。そんなの、一体何故だろうと疑問を抱く事しか出来ない。
「…疲れたか?」
「え?あ、いえ、そんな事は…」
「まだ病み上がりなのに随分連れ回したからな…。もう少しかかるから、少し寝た方が良いかもしれない」
そう、なんだか妙に元気の出ない私に気づいていたのか、心配そうにトウマさんは声をかけてくれた。そのいつもと変わらない彼の優しい気遣いに、私はやっぱり嬉しく感じると同時に、なんだか素直に受け入れ難く感じてしまっている自分を見付けてしまう。
何故だろう。なんでこんなに…モヤモヤするんだろう。