ここに在らず。


そうだ、これは当たり前な事ではない。だってそんなスキンシップは、もっと親密な関係同士でする事なのでは無いだろうか。例えばつまり、恋人同士とか家族とか、後はなんだ?なんだろう。幼馴染み?いや、そんなのは本で出てきたような状況でくらいでしか無いのかも…というかまぁ、兎に角そんな感じだろう。そうだ、絶対そういう特別なものなはずだ、絶対。だって恥ずかしい。そう、何より恥ずかしい!


私は、心の中でうんうん、と頷いてみせた。そしてそういえばと、出会ってから今日までのトウマさんとのそれを思い出す。


…そういえば、トウマさんはいつもそうだ。今思えばトウマさんはスキンシップが多い気がする。毎回私が泣いてる時だったりするから気づかなかったけれど、普通に男の人は頭を撫でてくれたりするものなのだろうか。しかもそれだけじゃない。もう私は何回かトウマさんに、だ、抱きしめられている、ような気が、するのだけれど……そ、そういうものなのだろうか。というか、そうなるっていうのは逆に、逆にだ。私とトウマさんの関係は一体何なのだということになる。

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