ここに在らず。
「トウマさんはそれが嫌なんだよ。それが心配で、だからあんたに甘えろって言うんだ。分かるか?あんたが自分に厳しくて、普通の感覚と違う事を分かってる。あんたがそれを甘えだって感じてる事を分かってるから、だからあえて“甘え”って言葉を使うんだ。でもさっきも言ったけど、あんたのそれは甘えじゃない。普通の、ごく当たり前の事。身体の調子が悪くて休んで何が悪い。保護者が心配して休ませて何が悪い。このままずっと治らない事のほうがもっと悪い事に決まってるだろ」
「……」
「だからあんたは、どうやって甘えれば、なんて思わなくて良い。自分が甘えだと感じる事を許して、受け入れていく事を学んでいけよ、これからは。それを受け入れたいってトウマさんは思ってんだから。あんたに甘えられたいんだよ、あの人は。あんたが気兼ねなく傍にいられる存在になりたいんだ。だからそれがあの人のためとも思えば…あんたも、少しは甘えやすいだろ?」
そして、「そう思って、だからトウマさんに甘えてやれって俺は言ったんだけど…俺の気持ちはちゃんと伝わりましたかね?」なんて、ナツキさんはやれやれといった感じで私に尋ねた。