ここに在らず。
「何かあったのか?」
するとトウマさんから真っ先に返って来たのはその言葉で、私は違う違うと首を横にブンブンと振る。…でも、トウマさんはまだ疑っているらしい。
「ナツキに何か言われたか?それともまた体調が悪くなったとか?」
「い、いえ、違うんです!別にそういう訳じゃ…えっと、ただ、お願いがありまして」
「お願い?」
「はい。えっと、あの…学校の事、なのですが…」
そこまで口にして、やっぱりこれは大した事だ!なんて思ったりする。
言いづらい、今日あの後夕飯の用意を手伝いながらナツキさんと決めた事だったのだけれど、なんだかやっぱり甘えてる…というか、子供みたいな事を言う自分が恥ずかしい!
そして「えっと…」と口ごもる私。そんな私の前には過ぎる時間に合わせてどんどん険しい表情へと変わっていくトウマさんがいた。