ここに在らず。
意味を得るには
「では…行ってきますね?トウマさん」
ーー次の日。ナツキさんのお迎えが来た私はトウマさんより先に家を出る事になり、だから家を出る前に、そっとトウマさんの様子を窺うように言ってみた。
昨晩のあの寂しそうに見えたトウマさんは、あの後すぐにいつも通りのトウマさんへと戻り、そのまま今現在、私の前でにこやかに微笑んでいる。そんなトウマさんを見ていると、私の気のせいだったのかな…なんて思ったけれど、それでもやっぱり何かあったのか、それとも何かしてしまったのかな…と、気になる私の方が優勢であったりして。トウマさんはどう思うだろう?と、少し心配になっていたりしていた。…のだけれど、
「あぁ。無理はしないようにな。行ってらっしゃい」
…なんて、わざわざ玄関までお見送りまでしてくれたトウマさんは、最後まで変わらずいつも通りのトウマさんだった。…うん…やっぱり、私の気のせいだったのだろうか…。
「うーん…」