ここに在らず。


先程までの浮かれた自分が恥ずかしかった。何なんだろう、何で私はあんなに浮かれていたんだろう。何であんなに強気で、何であんなに全てが分かった気になっていたんだろう。ここ数日で自分はいい気になっていた。恥ずかしい、苦しい、悲しい…辛い。

……でも、


「…サエ?」


行かないと。だからここまで来た。だからわざわざナツキさんに付き合って貰って……だけど、


「何?どうした?」


…一度止めてしまった、足が重い。


グラグラするような感覚は無かった。でもなんだか心臓がバクバクしているし、だからか焦っている時のような追い詰められる感覚がある。それでもあの時のように胃は痛く無いし、腹痛も無い。身体は健康、元気なはず。だけどーー、


「……怖い、です」


私は、あの時にも似た思いを抱いていた。


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