ここに在らず。
「行きたく無いんです。私は独りだから…私はずっと独りで、それなのに私は、私はーー私だけ、みんなとは違う」
私は、ナツキさんと同じでは無い。トウマさんとも同じでは無い。外の人達皆と同じでは無い。私は私、どこまで行っても私は私独り。ずっと独り。
「私はーー独りが、怖いんです」
…だから、あそこに行きたく無かった。あそこはいつも、私に忘れるなと言う。私はそこを出ても独りだと。私の存在なんて誰も見ていないと。そんな私が何かを望んでも、何かを抱いても、そこに何の意味も無い。それをあそこは教えてくれる。
それが当たり前だった。
…でも、今は違う。
「…私、独りになりたく無い…なりたく無いんです、ナツキさん…」