ここに在らず。


私はされるがままに連れられて、ナツキさんに引かれたままその場を後にする。その間、ずっと頭の中にはその言葉がグルグルと巡っていた。


『なんで自分を許さない⁈ 』


昨日もそんな事を言われた気がする。甘えるというのは自分を許す事だと。そうだとすると私は…どこまで学習能力が無いのだろうか。

ナツキさんを怒らせてしまった。良くしてくれていたのに、私は裏切ってばかりだ。トウマさんも昨日、同じように思ったのだろうか…だからあんな表情をしていたのだろうか。私はそうやって知らない間に人を傷つけて、裏切って生きて来たのだろうか。私は今まで何を学んで来た?私の生きて来た中に意味のある事はあった?…もしかして私には、人と関わる資格が無いのかもしれない。だから独りで居た事は、もしかしたら最善策だったのかもしれない。



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