ここに在らず。
結局私は変わらない。何一つ変わらず、だからあの日常は私の隣にいつもある。私は勘違いしていた。二人と私は違う。そんな私が幸せになれるはずがない。だから私は幸せになれないのだと、ナツキさんは言うんだ。彼の私の価値への認識が、もしかしたら同じものになったのかもしれない。私はここに居るけれど、ここには居ない。二人と同じ場所には居ない。私にはそんな価値は無い。
「…すみませんでした」
私の口から出たのは、そんな言葉。
「もうご迷惑をおかけしないよう、精一杯頑張りますので…なのでここに、置いて下さい」
「……」
ナツキさんは、黙ったままだった。それでも私は分かった。彼が私の言葉にまた、苛立ちを抱いているという事が。
「…すみません、すみません…お願いです。私を…見捨てないで下さい…」
どんなにナツキさんが苛立っていたとしても、私にはそれに対して何を言うべきなのかが分からない。だから謝る事しか出来ない。せめての願いを口にする事しか出来ない。