ここに在らず。
「……」
「あんたは人が信じられない。信じようとしてもそんな自分も信じられない。自分の選択が信じられない。自分の未来が信じられない。それは全て信じる事を許さない別の意思のせいだ。信じて傷ついた自分を何度も見てきたそれが、訴えかけるんだろ?だからそんな意思に任せて逃げる手段しかあんたは信じられない。勘違いするなって言い聞かせて、自分の願いを否定して、それを甘えだと許さないあんたはまた独りになる」
そしてナツキさんは、「そんな奴、一生幸せになれる訳無い」と、どこか冷たく、ピシャリと私に告げた。
ーー幸せになれない。先程も言われたその言葉。あの時私はその言葉をすぐに受け入れて、それに対してはそこまでの想いを抱かなかった。でも今、また告げられたそれ。二度目のそれは、違った。
「……」
言葉が出ない。出す気が無かったのか、出てこられなかったのか…でも、何かが詰まった感覚がする。何かが刺さって、苦しい。…痛い。そんな想いがふつふつと湧き上がる自分を見つめた。すると突き刺さったそれがナツキさんの言葉だと、私には分かった。