ここに在らず。


その日、帰って来たトウマさんにちゃんと行けた事を報告したら「頑張ったね」と、いつものように笑いながら褒めて貰えて、その後はなんと、ナツキさんからも今日の私の事を「よくやったよな」なんて言ってもらえた。なんだかもう、今日は物凄く良い一日を過ごしたなと思う。


全ては私が私のためにした事。それでも二人は私に頑張ったね、よくやったねと言ってくれる。私が前を向いていこうとする事を二人は良いことだと言ってくれて、一歩踏み出そうとする私をしっかりと受け止めてくれる。

だから私は、安心して足を踏み出せる。新しい世界へと向かう勇気が湧いてくる。そんな私はいつも何かの予感がしているような、とてもワクワクした気持ちで一日を迎える事が出来て、その日からの毎日は日々、エネルギーに満ち溢れているように感じた。

…うん、だからだろう。だから私は気がついた。毎日どうやって変わっていこうかと考える内に、良いことが思いついたのだ。そう、次の一歩を踏み出す手段、それは次のトウマさんのお誕生日にあるのではないかと。

トウマさんのお誕生日を迎えるために、お祝いするために、私は何かがしたい。いつもやってもらってばかりの私だからこそ、ちゃんとしたお礼がしたい。そこで私が私として、私からのものとしてのお礼が出来る事が、また一歩私の目標に近づく事なのでは無いかと思った。



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