ここに在らず。


「何が君を泣かせるんだ?」


その声に導かれるように、私はそっと顔を上げた。

そこにあったのは戸惑っているようにも見える彼の表情。感情に揺れる彼の灰色の瞳。そこに映るーーボロボロな私。


「…トウマさん…助けて下さい…」


…私の口から、自然とこぼれ落ちた言葉。


「私を、助けて下さいっ!」


目の前の彼に、兎に角縋り付いた。それを許してくれる彼に私はただただ甘えた。甘えてしまった。


「私、もう何も分からない。何も見えない。何も、何も無いーー!」

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