ここに在らず。
「君はずっと俺の隣に居れば良い。どこにも行く必要も無いし、ずっとこのままここに居れば良い。今のままの君でいてくれればそれでいい」
「で、でもそれはやっぱり…私は対等になりたくて、保護される子供ではいたくなくて!」
「子供だなんて思って無い。君を君として今だって見てる。だから君が心配で目が届かない所には行って欲しく無いんだ」
「だからそれは私を子供のようにトウマさんが感じてるから、だからそう感じるのであって…」
「違うよ、子供のように思ってるからじゃない。正直、最近の君を見ているともう学校にも行かなくていいんじゃないかとも思ってる」
「えぇ⁈ い、いや、なんでっ、それは流石に、」
「あぁ、分かってる。流石にそういう訳にも行かない。これは全部俺の我儘だ。君が変わるのが嫌だと思っても、それでも君は変わっていく。俺の知らない場所で新しいものを見て、知って、君は変わっていくんだ。そして君は自分を知って、自分の想いを知って、自分だけの大切なものを見つけて…、」
そこでピタリと、トウマさんの言葉は途切れた。