ここに在らず。
「あ、アルバイトは…いつか、アルバイトじゃなくてもいつか、私はやっぱり何かしたいです。私は私でやっぱり、そこは譲れません!」
私は、真っ直ぐに彼と向かい合ってそう断言した。すると一瞬驚いたような表情をした彼だったけれど、それはすぐにまた笑顔へと戻される。
「だったら俺は、サエが出て行こうとするのを全力で阻止するよ」
なんて、最後にその笑顔で告げられた言葉は、明らかにいつものトウマさんが発するそれとは違っていた。
いつものトウマさんとは違うそれだけれど…でも、私には分かった。
これもあなただ。
瞳の奥に潜んでいたあなただと、私には分かった。ずっとあなたを見てきた私だから…私には、分かるのだ。