ここに在らず。
「あぁ。良い事だと俺は思うけどね」
「……」
…単純だと、誰か笑って下さい。
私がその時、ナツキさんのその言葉ですっかり落ち込んでた分の自分を、これ程までに簡単に取り戻せてしまったのは…事実です。
なんて、そんなちゃっかりといつもの調子を取り戻した私はそこで、忘れていた大事な事実をやっと思い出した。
「あ…てことは結局、私はアルバイトが出来ないから…お金を稼いでのプレゼントは用意出来ません…」
「…まぁ残念だけど、そこは諦めるしか無いだろうな。でもあんたに金を稼ぎたいって言われたらそりゃあトウマさんも断るだろうけど…ちゃんと言ったんだよな?社会勉強をって」
「あ、はい。そこはしっかり出来たと思います。でも知らない所に行って欲しくないとかどうとか…目的がどうとかよりもアルバイト自体がダメだそうです」
「…そこが意外なんだよなぁ」