ここに在らず。


「そうですよね。いつものトウマさんなら許してくれそうなのに…昨日のトウマさんは普段の大人で穏やかな感じとは違ったというか、なんというか…」

「まぁ、それだけ焦ってたのか、それともあんたの気持ちを完璧に信用したのか…」

「はい?」


…なんか今、聞き捨てならない事が聞こえてきたような…


訝しく思った私は、ナツキさんをジッと見つめる。


焦る?私を完璧に信用する?

それって一体…どういう事?


すると、困ったように口を閉ざしたナツキさんだったけれど、ジーっと向けられる私の重い視線に耐えられなくなったようで、「…あー俺、またやっちゃった?」なんて誤魔化すように笑ってみせた。


「……」

「あ、いや、別に変な事は無いって。騙してるとかそんなのも無いし」

「……」

「いや、ほら、さっきあんたも言ってただろ?あれが本心なんだって。だから分かってるだろうと思ったっつーか、そういう事だからその…」

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