ここに在らず。


「……」


そこでナツキさんは、もう誤魔化しは効かないと諦めがついたのだろう。私との間に漂う空気を立て直すかのように「はぁー…」と、大きな溜息をついて、もう一度きちんと私と向き直った。


「まぁ、だからアレだ。アレはあんたも言う通りトウマさんの本心で、本当はトウマさんはあんたが思ってるよりずっと子供なんだよ」

「…子供?」


私は思わず首を傾げる。ナツキさんはそんな私にそうそうと小さく頷いた。


「あの人は昔から好きなものは好き、嫌いなものは嫌いな人でさ、興味が有る無い、やりたいやりたくない、欲しい欲しくない、全てがストレートなんだよな。それで人の意見で自分の意見を曲げない…まぁつまり我慢出来ないっつーか、しないっつーか。そういう子供みたいな所がトウマさんにはある」


…そう、何の迷いも無く私に彼を説明するナツキさんの言葉で表されるのは、私の知るトウマさんからは随分と離れた人物像で。


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