ここに在らず。

そしていつも通りの彼に戻ったトウマさんをジッと見つめていると、私の視線に気づいたトウマさんが「何だ？」と可愛らしく首を傾げて尋ねてきた。

何だって、それはこっちの台詞ですよ…なんて思いながら、なんだか私は理不尽な思いをしているような気持ちになってきた。


私の偏見かもしれないけれど、やけにすっきりしているようにも見えるトウマさんは、どうやら勝手に解決したらしいように思える。でも、トウマさんのそれのせいで私は解決も何も問題が更にまた増えてしまったのだ。

そうだ。トウマさんも悪い。昨日だって先程だって、私には分からない所で分からない事を分からない内に解決して、でもそれはナツキさんには何故か分かってて…結局私はいつも、後でナツキさんに教えて貰っていて。


トウマさんが私の事を大切に思ってくれていると、ナツキさんは教えてくれた。

大切に思ってると言われても、何故なのかが分からなければ私にはイマイチピンとこない。もちろん大切にされてないと思っている訳では無いし、それは分かってる。大切にしてくれている。でも何故？何故私をこんなに大切にしてくれるのか、理由がさっぱり分からない。