ここに在らず。
その言葉を口にした瞬間、トウマさんの表情がサッと変わるのが分かった。
「…君を大切に、想う理由?」
ピンと張り詰めた空気の中、トウマさんは口を開く。
真剣な眼差し。瞳の奥に揺らめく感情。ガラリと雰囲気を変えたトウマさんは何かの決意をしたようにも見えた。
…思わず私は、ゴクリと唾を飲む。
「…君には、色が見えたんだ」
「……色?」
真っ直ぐに迷いも無く、その声は私の元へと向かってきた。
色が見えたと彼は言った。私に色が。色とは、一体…
「君は、俺の求めていた色を見せてくれた。君はいつも俺の理想を現実にしてくれた」
そしてトウマさんはーーニコリと微笑む。