ここに在らず。
「俺にとって君は特別だ。君にしか…俺の世界を、作れない」
ーーそれは、彼の告白だった。
私の知らない彼の中にある想いの告白。
でもそれは、一体何に対する想いなのか、何を彼は大切に思っているのか、それがどういう意味を持っているのか…私には、さっぱり分からなかった。
トウマさんの世界…
何も理解は出来なかったけれど、でも私には、漠然と感じたものがある。
大切だとか特別だとか、彼の言うそれらは、私の思うような意味とまるで違うものだ。
好きだとか嫌いだとかそんな世界に、彼は居ない。
だから、私の抱く恋心は…彼にとって何の意味も持たないのだと。
私の保護者という意味が、ようやく私にも理解出来たみたいだった。